多様な働き方が広がる世の中で、副業を解禁する企業も増えてきました。ソフィアメディでも専門職として働きながら、自分の得意なこと、好きなことなど様々なジャンルの副業をされている方がいます。 今回は、本業看護師、副業カメラマンとして活動をされているMさんにそれぞれの仕事で培った力の活かし方とご自身が叶えたい働き方の実現方法について伺いました。
※記事の内容は2022年6月取材当時のものです
趣味で始めたカメラが副業に
ーMさんがカメラを始められたのはいつですか?
カメラを始めたのは、4年前、専門学校を卒業し看護師として横須賀の病院で働き始めたタイミングです。病院付近で一人暮らしをしていたのですが、就職した病院が移動するのには少し不便なところにあり、休みの日は遊びに行くのも一苦労で(笑)。そこで、なにか1人でできる新しい趣味を始めてみようと思い、カメラを買って近所の海を撮影してみたのがカメラを始めた一番のキッカケです。
ーカメラは独学で勉強されたのですか?
はい、独学です。今はYouTubeの動画など自分で学べる材料もたくさんありますし、カメラ自体の性能が上がっているので、撮影技術の差は正直あまりなくなってきました。どちらかというと、どこを切り取るか、どんな色味でレタッチをするかが重要になっている気がします。
ー副業としてカメラマンをされているMさんですが、趣味がお仕事になったのはどんなキッカケだったのですか?
同僚からウェディングフォトを撮ってほしいと依頼されて初めてウェディングの撮影をしました。その写真をコンテストに出してみたら、まさかの入賞をして。その他にもいくつかコンテストに出してみたら3つほど入賞したんです。運が良かっただけなのか、ちょっとうまくいきすぎて怖いくらいでしたが、コンテストをキッカケに本格的にカメラマンとしてチャレンジしてみようと思いました。
そう思っていた時に、友達から「これ絶対向いているからやってみなよ」と カップルフォトサービスのカメラマン募集を教えてもらいました。背中を押されて面接を受けたらありがたいことに合格し、所属させていただくことになったんです。
副業をしたかったというよりも、 そのチームに所属することが結果的に副業になったような形です。あとは、カメラをちゃんと続けるにはお金もかかるので、カメラを続けるためにもカメラマンとしての活動費はカメラで稼ぎたいと思っていました。
ー病院勤務時代からカメラをされていたのですね。では、病院からソフィアメディに転職されたのはどんな理由だったのでしょうか?
チームに所属し副業にしたからにはカメラもしっかりやっていきたいと思ったのですが、当時の病院の立地だと、都内の撮影に出かけるのに2時間もかかっていたんです。看護師の仕事もカメラの仕事もどちらもちゃんとやりたかったので、転職し都心へ移ることを決めました。
副業OKな職場を中心に紹介会社さんに探して頂いた中で、ソフィアメディが候補として上がりました。病院時代に退院してもすぐに病院に戻ってきてしまう方が多くいて、病院時代から退院後の生活を看てさしあげたいという想いがあったので、訪問看護にチャレンジしてみようと思いました。
ーMさんの働き方と看護観が合致したのですね。看護師とカメラマンはMさんの中でどのような位置づけですか?
基本的には看護師としてしっかり仕事をしつつ、自分に余裕があり、これならば誰にも迷惑をかけないだろうという状況の時にカメラマンとして活動しようと決めています。
カメラの仕事を入れすぎて体調を崩して看護師の仕事に支障をきたし迷惑をかけることは一番したくないので、そうならないよう両者のバランスを大事にしています。カメラの方はお客様から直接依頼が来て日程を調整をするというよりも、撮影可能なシフトを提出して、その中で案件を割り振ってもらえるので、そのような体制も本業を崩さず、カメラの仕事が入れられるのでありがたいです。
ーご自身でしっかり体調やスケジュールの管理をされているからこそ、本業も副業も全力で取り組めるのですね。
「寄り添う姿勢」の大切さは看護師もカメラマンも同じ。看護師で培った力をカメラマンとして活かす
ー看護師とカメラマンは全く違う業界ではありますが、お互いの仕事で活かせていることはありますか?
そうですね。一つ、看護師とカメラマンの仕事がすごく繋がったなという出来事があります。
新型コロナウイルスが流行り始め、世の中の緊張が張りつめていた時に、他のカメラマンが断った案件が回ってきたんです。ファミリーフォトの依頼だったのですが、詳細を確認してみたら、4人家族でお父さんが来週から入院するから、今週中に撮影してほしいという依頼でした。「入院するから撮影してほしい」ということは、もしかしたら病気などでお父さんの見た目が変わってしまうのか、それとももう退院できないのかなど事情があるのかなと看護師の感覚として思いました。当時、副業先のルールとして、感染を避けるために公共交通機関では移動していけないとなっており、この案件も既に二人のカメラマンに断られていて、きっと自分が受けなければ、この家族の撮影は無くなってしまう、と思いました。どうにか撮影して差し上げられないかと思い、副業先と相談してレンタカーを借りて撮影に向かうことにしました。
ご自宅にお邪魔してお会いしてみると、やはりお父さんの顔に黄疸がかかっていて、すい臓がんで余命が数年であるということを知りました。入院して抗がん剤治療を始めると見た目が変わってしまうので、その前に今のお父さんと家族の写真を残したいとご依頼くださったとのことでした。
お子さんもまだ小さかったので、この子たちが大きくなった時にはお父さんのことを思い出してもらえたらいいなという想いで、こちらも泣きそうになりながら写真を撮りました。
きっと看護師だったからこそ、この撮影にどれだけの想いを込めて依頼してくださったのか汲み取ることができたのだと思いますし、この出来事を通して看護師をしながらもカメラマンをできる限り続けていきたいなと思いましたね。
ー看護師のMさんだからこそのエピソードですね。今のお話をお聞きして、看護師とカメラマンという一見全くジャンルの違う職種にも通じるところがあるのかなと感じました。
お客様の心に寄り添うという点において、共通ですよね。撮影もその人の背景や想いを知っているのと知らないのでは同じ被写体を撮影していても全く違う写真になります。看護でも、例えば入浴介助をするにしてもお客様全員に対して同じやり方ではなく、「ぬるめのお湯がいい」とか「足の裏の垢をゴシゴシしてほしい」とかその方の要望をお聞きしてからケアをします。その方の心の声に寄り添うことはどちらの仕事も共通して大切にしている部分だなと思いますし、日々心掛けながらそういった姿勢でできているかを自分自身で客観視するようにしています。
ー普段看護師としてお仕事をされてるからこそ、人の想いに寄り添うということが自然とできるのだろうなとお話から感じました。
看護師の自分がカメラを通して伝えたいこと
ー看護師をしている中でこんな瞬間を撮りたいなと思うことはありますか?
はい、沢山ありますね。
病院時代で言えば、急に脳梗塞になってしまった方が治療して退院されるときに、最後にエレベーターの扉が閉まる前に「ありがとうございました」と言ってくださった時の表情とか、最近だと、脱水になってご飯が食べられなくて点滴をされていた方の食事のサポートをしていたのですが、ごはんを食べられた時のご家族の嬉しそうな光景とか、看護をしていると写真に収めたくなるような素敵な瞬間がたくさんあります。
ー想像するだけで素敵です。最後に、看護師として、カメラマンとして、今後のキャリアで実現してみたいことや目標はありますか。
よく友達と話していると、「看護師ってコロナ禍で大変だよね、しんどそうだよね」とネガティブなイメージを持たれているなと感じることが多くあります。もちろん大変さもありますが、一方で看護師をしているとこんな素晴らしい瞬間にも出会えるんだよということや、医療や訪問看護の素晴らしさをカメラを通して伝えたいと思っています。そのためにも、看護師として仕事を続けながらカメラを続けたいと思っています。
ー素晴らしいですね。具体的にイメージしていることはありますか?
ある訪問看護師さんが、患者様やご家族の日常の瞬間を集めた展示をやってたんですよね。それがすごく良くて、自分もそういう素敵な写真を集めた写真展をやってみたいなと思いました。その中で、展示を見てくれた人に「この人はこういう病気で、こんな状況だから今こういう表情してるんです」って看護師だからこその視点で写真と一緒に解説をして、訪問看護の素晴らしさをより深く伝えられたらと思っています。
ーいつかその写真展を開催されるときにはぜひ見に行きたいです!素敵なお話をありがとうございました!
「副業をしている」と聞くと、本業が疎かになるのではないかと思う人も世の中にはいるかもしれません。しかし、Mさんは、どちらにも100%取り組めるよう自らの管理を徹底することで理想の働き方を妥協せずに実現し、なおかつ両者で培った力をそれぞれで活かすことで、スキルアップや視野の拡張にも繋げていました。チャレンジしてみたいことがあるけれど踏み出せない、自分の働き方に不安を持っているという医療職の方にとってMさんの言葉が背中を押すものになれば嬉しいです。
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