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INTERVIEW

働くスタッフの声

安心して在宅で過ごせるように。ベテラン訪問看護師が大切にするお客様との信頼関係

ステーション西馬込

看護師・管理者 S.Yさん

近年では高齢化や病床数の不足により在宅医療の需要は加速していますが、まだまだ世の中に広く知れ渡っているとは言えません。今回は、これから一層の充実を望まれる訪問看護業界に10年以上前から従事し、在宅医療を支え続けてきたSさんにインタビューしました。

看護師・管理者 S.Yさん ステーション西馬込 都立病院の外科や泌尿器科で16年勤務し、ソフィアメディへ転職。訪問看護師歴は13年目。2人のお子さんを持つママ。現在はステーション西馬込の管理者を担う。趣味はカラオケ。

※記事の内容は2022年12月取材当時のものです。

「帰れるよ」と言えないジレンマ。中重度の方の在宅療養を実現するため訪問看護師に

ーSさんが訪問看護師になったキッカケを教えてください。
訪問看護師になる前は都立病院の外科・泌尿器科に長く勤めており、病棟ではガン末期の方を多く看させていただいていました。昔は病状や余命宣告も今のようにはオープンにされておらず、いつか病状が良くなってお家に帰れると思っていらっしゃる方も実はたくさんいらっしゃったんです…。私たちも「帰れるよ」とは言えずもどかしい思いをしていました。はっきりと自分の病状を知らされないために不信感を持ちながら過ごしている方もいて、嘘つき呼ばわりされたこともあります。そのジレンマが日に日に大きくなって、できれば患者様がお家に帰るサポートをしてさしあげたいと思うようになり、訪問看護に飛び込みました。

でも、当時は世の中的にも職業的にも訪問看護はまだ浸透しておらず、訪問看護のスタッフさんと仕事で関わることもほとんどありませんでした。私の時代は学校で訪問看護の実習もなかったので、本当に未知な業界に飛び込んだ感覚でしたね。

ー実際に訪問看護師になってみて、感じたことはありますか?

私自身、病院時代はガン末期など中重度のお客様がお家に帰るのは難しいだろうと思っていました。でも、自分が訪問看護師として関わってみると、在宅でも大切な時間を過ごしていただくことができるということに気付いたんです。病院の看護師さんが何かあった時のリスクを考え、在宅を勧められない気持ちは私もすごくよく分かります。だから、もっと在宅側から「大丈夫ですよ、私たちがサポートしますから」とアピールしていかないといけないなと思っています。

訪問看護師は「在宅チーム」とお客様をつなぐ大事な役割

ーSさんが訪問看護師として大切にされていることはありますか?

訪問看護はお客様のご自宅というパーソナルな場所にお邪魔させていただき、一定の時間同じ空間でお客様と深く関わらせていただくという性質上、お客様との信頼関係で在宅療養の質が左右されてしまう場合があるなと感じます。そのため、お客様とどれだけ信頼関係をつくれるかは在宅医療において非常に大事なことだと思っています。

ーなぜそのように考えるようになったのですか?

訪問看護に転職した当初、訪問していたお客様が主治医に不信感を持っていたため担当医が変更になったことがありました。しかし、その直後に急変され、病状説明が十分でないままにお客様がご逝去されてしまったんです。主治医が変わった直後だったため、ご家族様としては心の準備ができないままに最期を迎えることとなってしまいました。

色々なタイミングが重なってしまったということもあるかもしれませんが、最初の医師との関係性が良ければ、また何か変わっていたかもしれません。そういった状況を見ていた中で、信頼関係の深さはお客様の在宅療養の満足度にも大きく関わるのだなと感じました。

特に訪問看護師は、在宅チームの中でもケアマネジャーや医師よりも高頻度でお客様と顔を合わせます。そのため、在宅チームとしてお客様とのつなぎ役をしたり、お客様やご家族様のお気持ちを汲み取り、情報共有することも訪問看護師の大事な役割の一つだと感じています。

ー信頼関係を築き、チームの橋渡し役もしながらお客様の療養生活の満足度を高めていくのですね。お客様との関係づくりにおいて印象的だったエピソードはありますか?

数年前、ケアマネジャーさんともヘルパーさんとも関係を断ってしまい、誰にも心を開かず、なかなかご自宅に入らせていただけないお客様がいらっしゃいました。その時、訪問看護だけはなんとか入らせてもらえたのですが、他職種が入れない中で在宅療養を続けるにはギリギリの状況。訪問看護を拒否されるわけにはいきませんでした。

看護師も私一人しか訪問させてもらえなかったので、お客様が心を閉じてしまわないよう必死に一人で訪問を続けてつなぎとめていました。他職種にも頼れず、あの時は訪問看護師人生で一番つらかったかもしれません。あの時はいっぱいいっぱいでしたが、お客様が在宅チームに抱えていた不信感を払拭するためにやれることがもっとあったんじゃないかと今でも後悔することがあります。

でも、お客様が望まれていた最期までご自宅で過ごすというご希望を叶えることはできたので、あの時お客様とのコミュニケーションを諦めなくて良かったと思えた経験でしたね。

ー素敵なエピソードですね。Sさんがお客様との信頼関係を深める中で大切にされていることはありますか?

とにかくお話をお聞きして、その方が好きなことやご希望の糸口を探し出すことですかね。信頼関係ができないと自ら在宅のサポートを断ってしまう方もいらっしゃいます。諦めずにいろんな角度から糸口を見つけ、コミュニケーションを諦めないことが大事だと思います。

あとは、すごくシンプルなことなのですけど、笑顔を大切にしていることですかね。病院の新人時代の頃って、新人なので何もできないんですが、患者さんに「君の笑顔は太陽みたいだね、君を見ているとほっとするよ」と言っていただいたことがあったんです。自分が元気でいることで、誰かを元気にすることができるんだなと思い、そこから常に笑顔でいることも心がけています。

「チームで看る」ことがやりがいにも楽しさにもつながる

ーSさんは現在管理者ですが、もし新人スタッフさんがお客様との関係に悩まれていたら、どのようにサポートしますか?

まずはスタッフと対話し状況をヒアリングします。もしその中で不安という言葉が聞かれたら、一緒に同行して課題やその原因を一緒に見つけるようにしています。もしかしたら本人が気づいていない部分もあるかもしれないので、第三者として実際に同じ状況を共有してから一緒に考えることを大切にしています。やっぱり一人で悩んでいても解決しないことも多いので、スタッフの成長のためにも、お客様により良いケアを届けるためにも、そこにはしっかり時間をかけるようにしたいですね。

ーでは、Sさんがチーム運営で大切にしていることはありますか?

私がSt,西馬込に異動してきた時、責任感が強く自分がやらなきゃという想いを抱えているスタッフがとても多い印象がありました。素敵なことなのですが、一方でその緊張感からか、皆が楽しく働けている雰囲気はあまり感じられなかったんです。そのため、自分が管理者の立場になってからは、「一人じゃなく、チームで看るんだよ」ということをとにかく伝え続けています。

あとは、「チーム」でお客様を看ていくために、ミーティング等でそれぞれが思っていることを素直に発信できる環境づくりも大切にしています。
私が違うステーションに在籍していた時、チーム皆でターミナルのお客様の対応を行ったのですが、ご逝去後管理者がデスカンファレンスを開いてくださいました。その時、スタッフも他の関係機関の方も、思っていたことをそれぞれ吐き出していったのですが、同じチームでも意外とお互いが考えていたことや想いを知らなかったんです。もしその考えや想いをお互いに知っていたら、もっと発想や行動が広がっていたかもしれません。チームで看るために、それぞれの考えをお客様のために発信し、最善を見つけることも非常に大切だとその時感じました。

最近では、ターミナルのお客様が増えてきていますが、スタッフそれぞれが連日訪問も積極的に入ってくれたりと、「皆で看る」チームになってきたなと思います。

また、最近では社内で実施しているスタッフの満足度調査の働きがいスコアも目に見える形であがってきたので嬉しく思っています。

ー今後実現したいことがあれば教えてください。

私は訪問看護に転職した時から、ずっと訪問看護でターミナルケアをしたいと言っていたのですが、その想いはずっと変わっていません。病院時代に抱えていたジレンマを在宅医療を通して解消できると思っているので、がん末期など終末期のお客様が最期をご自宅で過ごせるように今後もサポートしていきたいと思っています。管理者としては、中重度の方を支えられるチーム体制を整えながらも、スタッフそれぞれの意志を尊重し、やりがいをもって楽しく働けるチームをつくっていきたいと思っています。

ーお話を聞きして、訪問看護に対する情熱がすごく伝わってきました。素敵なお話をありがとうございました!

訪問看護が大好きだと語るSさん。世の中に求められている中重度患者の在宅医療はまだまだ足りていません。しかし、今回お話をお聞きし、Sさんのような想いある在宅医療者の方々の活躍で、今後多くの中重度のお客様が在宅で安心して過ごせる明るい未来がくるかもしれないと感じました。

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