介護の現場から、在宅ケアの世界へ。若手でも「頼れるケアマネジャー」であるために、大事にしていること
親族との対話で気づいた「私、在宅ケアについて何も知らない」
ケアマネジャーになろうと思ったきっかけはどんなことですか?
Iさん:幼少期から知的障がい、あるいは精神障がいを持つ従兄弟や、身体障がいを持つ父との関わりがあり、いつも福祉がそばにありました。将来は人と関わる仕事、特に障がい者や高齢者と関わる仕事をしたいと考えていました。福祉系高校を卒業し障がい者施設に勤めている時、従兄弟たちの将来について親族間で話し合う機会がありました。一緒に暮らしてきた親たちも高齢になり、施設や在宅ケアについて「どんな選択肢があるのか、福祉系の仕事をしているんだから知っているでしょ」と相談されました。
その時に「施設については分かるけれど、在宅のサービスは何ひとつ分からない」と気づきました。これを機に在宅ケアについて勉強してみようと思い、ケアマネジャーの資格を取得することにしました。
地元にはケアマネジャーの求人が少なく困っていたところ、転職サイトからソフィアメディのスカウトメールが来ました。在宅ケアでも訪問看護がメインの企業だと分かり、自宅でどこまでの医療行為ができるのだろうと興味を持ちました。
会話を重ねて信頼関係を築く。目指すのは「なんでも相談できる人」
現在の主な仕事内容と、1日の流れを教えてください。
Iさん:朝の9時に出勤して、訪問の予定がある場合はお客様のご自宅を訪問し、ない時は電話での相談対応や、記録などのデスクワークをしています。お客様には月に1度程度訪問し、現在の状態や前月からの変化を確認、必要があればサービスをご案内します。
訪問は1日に2〜3件必ず入っています。月1回の定期訪問に加え、緊急のご依頼で訪問することもあります。
デスクワークには3種類あります。1つ目は「お客様の状態の記録」として、日々の関わった内容を支援経過に記録します。ケアマネジャーは基本的に、1人のお客様につき1名が担当するので、仮に私が休んだ場合でも他のスタッフが理解しやすい書き方を意識しています。2つ目は「アセスメントの作成」で、体の動きや生活面での課題、介護の状況などを詳細に入力します。3つ目は「ケアプランの作成」です。これは介護保険利用時やサービス変更時に作成します。変更内容については、ご家族や訪問看護師への報告も都度行っています。
お客様やご家族からの相談内容は本当に幅広く、時には「テレビの調子がおかしい」といった日常的な悩みまで質問されることも。もちろんすべてに対応できず別の方に相談することもありますが、「Iさんに言えばなんとかしてくれる」と頼られるのは嬉しいという気持ちもあります。
入社してみて戸惑ったことと、それをどう解決したか教えて下さい。
Iさん:一番戸惑ったのは、お客様ご本人とご家族の考えが異なるケースがよくあることです。お客様はご自宅にいたいけれど、ご家族は施設を希望する。その逆もあります。家族だからこそ感情的になることもあり、中立の立場でまとめるのはなかなか難しいですが、自分が間に入り会話を重ねることで、解決の糸口になれると嬉しく思います。
また、在宅ケアの内容に医療行為が多くて驚きました。皮膚状態がかなり悪い褥瘡をご家族が洗浄したり、ガーゼを貼ったり。看護師が不在の時にもご家族が対応するとは、大変だけれどすごいことだなと思いました。
ご本人とご家族の方向性の違いに関しては、ケアプランの管理者(兼ケアマネジャー)に相談しました。先輩として自らの経験を踏まえてたくさん話をしてくださり、とても感謝しています。医療行為に関しては、とにかく勉強するしかないと考えました。現在でも分からないことがあると、訪問看護の処置に同席させてもらい勉強しています。
ご家族と共に支えた最期の時間。記憶に残る「あなたで良かった」の一言
現在のお仕事で「これがやりがいだ」と感じるのはどんな時ですか?
Iさん:ベテランのケアマネジャーから引き継いだお客様がいました。ケアマネジャーになってまだ数年の私が担当して大丈夫なのだろうか、という不安がありましたが、少しずつお客様ご本人、また配偶者様と良い関係性が築けつつありました。そんな時、お客様の容体が悪くなり入院を余儀なくされました。
お客様は、これまで自宅での医療行為は不要だったのですが、CVポート(鎖骨付近に埋め込む点滴用の医療機器)を埋め込まれた状態での退院、帰宅となりました。当時は私もCVポートについて詳しい知識がなく、配偶者様も驚きと不安でパニック状態でした。看護師のCVポート貼り替えに同席し、仕組みを理解すると共に、なるべく色々な不安について傾聴するようにしました。
このお客様は、私がケアマネジャーになってから、最も長い期間を担当した方でした。ついにお看取りの時となり、私はその日にご自宅へ伺い、配偶者様とこれまでの日々を振り返りお話をしました。その時に「ケアマネジャーがIさんで良かった」と言われたんです。お客様の最後の日々を共に支えることができて本当に良かったと思いました。
一人前になるために、管理者や先輩から多くのことを学んだ
「ソフィアメディに入社して良かった」と思うことがあれば教えてください。
Iさん:ケアマネジャーの資格を取得しても、実際には現場で経験を重ねないと独り立ちは難しいのが現実です。ソフィアメディではケアマネジャーの先輩がとても丁寧に教えてくれたため、ここまで続けられたと思います。また訪問看護師と同じステーションで働いているため、医療系の疑問をすぐに相談できる環境なのもありがたいです。
ここ数年でケアプランについての研修が充実し、全国のケアマネジャーと情報交換できるようになりました。「みんな大変な事例を持っているんだ」ということが分かり、自分も頑張ろうという気持ちになりますし、多様な考え方を学べて視野が広がります。
転職を考えているケアマネジャー、またケアマネジャーを目指す方にメッセージをお願いします。
Iさん:仕事では地域包括支援センターのスタッフや、医師・ヘルパーなど他職種の方々と関わりますが、「まだ若手だから」と言われることもあります。だからこそお客様やご家族に信頼してもらえるよう、じっくり会話することを大切にしています。 十人十色の病状、そして価値観を前に戸惑うこともありますが、いろんな職種・立場の方と協業することで知識が増え、自身の成長につながります。「まだ若いけど、大丈夫かな」という方も、ぜひ一緒にソフィアメディで働きましょう。